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卵かけご飯と堂本さん [思い出]

先日テレビを見ていて知ったのだが、
今や卵かけご飯が大ブームだそうだ。

卵かけご飯なんて、別に目新しい物でもないのに
何故今更?という気がしないでもない。

島根県のほうで、卵かけご飯シンポジウムが開かれたり
どこぞの高級料亭の卵かけご飯が紹介されたり
卵かけご飯専用醤油だの、○○産の米、卵、削り節に海苔までこだわった、究極の卵かけご飯が取りざたされているらしい。

が・・私の中の究極の卵かけご飯と言えば
なんと言っても、「二十四の瞳」でお馴染みの壺井栄が書いた「坂道」という童話の中で出てくる卵かけご飯だ。

多分私が小学3~4年生の時の国語の教科書に載っていた話だ。

戦後間もない頃の話だと思うけど、主人公の女の子の家に居候していた堂本さんという若いお兄さんが、職探しに出かけるけれど、なかなか見つからないといった話で、「なんだ坂こんな坂・・」と声を合わせながら荷車を引いて坂を上る場面があったように思う。

ある時、職探しがうまくいかなかったのか、堂本さんががっかりして家に帰ってくると
お母さんが、女の子に「卵を二つ買っておいで」と言いつけて
女の子は農家かどこかに買いに行き、大事に懐に抱えて持って帰ったのだった。

当時は戦後の食糧難の頃で、卵も白米も貴重品で滅多に食べられなかったと思うが、女の子が家に帰ってみると、アツアツのご飯が炊けていた。
みんなの見守る中、炊きたてのご飯に買ってきたばかりの卵を落としてかきこむ堂本さん。

女の子やその兄弟は、滅多に口にすることのない卵かけご飯を食べる堂本さんを固唾を呑んで見守った。
残ったもう一個の卵を今度は自分達の番だと思っていたら、堂本さんはおかわりをして、もう一杯卵かけご飯を食べてしまい、女の子がとてもがっかりしたという話だった。

アツアツの炊きたてのツヤツヤご飯にオレンジ色の黄身がこんもりと盛り上がって
トロンと流れる透明の白身。
堂本さんは醤油をかけたのだったかどうだか、細かい部分は覚えていないし
本当にうろ覚えなのだけど、アツアツの卵かけご飯を惜しげもなくふるまうお母さん、それをかきこむ堂本さん、一生懸命見守る子ども達・・忘れようとしても忘れられない光景だ。こんなに美味しいものが世の中にあるだろうか?そう思いこませるに十分なほど、それはそれは美味しそうな描写だったのである。

影響されやすい私はその日の夕食時に、堂本さんのように、炊きたてご飯で
卵かけをして食べたけど、そんなに感動するおいしさではなくて、がっかりしたことも覚えている。

夫は、大したおかずがない日は、必ず卵かけご飯をする。
おずおずと「卵かけにしていい?」と私に聞く。
私は「フン!大したおかずが無くて悪かったわね」と憎まれ口をきくが
きっと、夫の中にも、卵かけご飯は特別・・といった思いがあるに違いない。

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